歴史的な理由から、天文学者はCGS単位系を好んで使う。
例えばエネルギーの単位はジュール(J)でなくエルグ(erg)である。
しかし、天文学者にとって1cmや1gはあまりにも小さすぎて不便なので通常もっと大
きな単位を使うことが多い。
まず長さは、地球と太陽の間の平均距離(楕円の長径の半分)を用い、
これを1天文単位(=1.49597870700× km)とよぶ。英語で表記すると「au」
である。約1億5千万kmと覚えておこう。しかし、宇宙論研究者にとって「天文単
位」は十分大きな長さではない。宇宙論研究者が普段使う長さの単位は「メガパー
セク」(Mpc)と呼ばれている。まず1パーセク(pc)は1天文単位が1秒角、つまり1
度の3600分の1の角度をはる長さのことをいう。(因みに60分角は1度に等しく、
60秒角は1分角に等しい)。ある天体が半年で2秒角ずれるのであれば、
その天体までの距離は1pcになる。計算すると1pc
m
auである。もっとも近い恒星ケンタウルス座
星
までの距離は1.35pcである。その1pcの百万倍が1Mpcである。
次に質量の単位として宇宙論研究者や天文学者がよく使うものは「太陽質量」で
ある。太陽の質量1.988×kgを1
と書く。
最後に時間は1Gyrつまり
年を単位として使うことが多い。
このように宇宙論で使われる単位は地球や太陽に関係した量をものさしとしてい
る。しかし、宇宙は広いので、太陽系以外でも使えるものさしがあると便利であ
る。それは一体何だろうか?答えは「物理定数」である。
特に万有引力定数、光速
、換算プランク定数
のべき乗の積であらわさ
れる単位系をプランク単位系とよぶ。長さ、質量、時間の単位をそれぞれ、
プランク長さ、プランク質量、プランク時間とよび、それらは宇宙共通の単位である。プランク単位系は宇宙誕生時の出来事を記述するのによく使われる。