標準モデル

近年の観測データ(Planck 2015)から宇宙は空間的にほぼ平坦であり、 ハッブル定数は $H_0=67.8\textrm{km}/\textrm{s}/\textrm{Mpc}$、スケール因 子$a=0$であった時刻から測った宇宙年齢は $13.8 \textrm{Gyr}$つまり、138億 歳であることが判明している。また、現在のエネルギー密度に 占める割合は、宇宙定数$\Lambda $$69$パー セント、ダークマターが26パーセント、バリオンが5パーセントであることが判 明している。一方、輻射(ニュートリノと光子)の エネルギー密度は $\Omega_{r,0}=9.1\times 10^{-5}$しかない。 つまり、宇宙のエネルギー密度として現在優勢なのは宇宙定数$\Lambda $である。 したがって、現在宇宙は加速膨張をしていることになる。

これらのエネルギー密度の相対的な比率は時間と共に変化することに注意されたい。 遠い過去に遡ると、ダークマターや輻射が優勢であった時代があったであろう。 遠い未来では、宇宙定数$\Lambda $の寄与が相対的にさらに大きくなると考えられる。

しかし、宇宙定数$\Lambda $のように定数でなく、時間的に変動するダークエネ ルギーの場合、相対的寄与が小さくなっていく可能性も考えられないわけではな い。宇宙定数の「定数性」はダークエネルギーの状態方程式パラメータ$w_{DE}$ がどれだけ$-1$からずれているかで測ることができる。

また、宇宙がわずかに曲率をもつ可能性も考えられる。もし、ダークエネルギーの成分 が再び小さくなっていくのであれば、宇宙の運命は、ダークエネ ルギーの性質と曲率の大きさで決定されるであろう。我々は、(2018年の時点で)これらの問 いに自信をもって答えることができるほど、正確なデータを持っているわけではない。