空間的に一様等方な時空の空間成分は定曲率空間で表される。対応する
時空の計量はスケール因子
を用いて
![\begin{displaymath}
ds^2=-c^2 dt^2+a(t)^2 [dr^2+S_\kappa (r)^2 d\Omega ^2]
\end{displaymath}](img189.png) |
(3.20) |
とかける。この計量をフリードマン-ロバートソン-ウォーカー(FRW)計量、
対応する時空をフリードマン-ロバートソン-ウォーカー(FRW) 時空とよぶ。
つまりスケール因子
にしたがって時間と共に膨張したり収縮できる定曲率空
間を含む時空である。スケール因子
が一定でない限り、たとえ空間成分が
ゼロ曲率でもFRW時空は「曲がった」時空であることに注意しよう。なぜなら
力の働いていない質点もスケール因子
の変化に従って運動することができ
るからである。
今空間を表す座標として極座標
をとり、世界点
と微小距離だけ離れた別の世界点
が外力の働いていない質点の
世界線上にあるとする。 世界線が原点
を通る場合、世界線の
空間成分は
をみたす。空間の等方性から外力の働い
ていない質点は動経方向にしか運動できない。もし、質点が共動座標
で「静止」しているのであれば
、微小世界間隔の2乗
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(3.21) |
が得られる。
しかし、相対論に不慣れな人達にとって、いつも4次元的な量を考えるのは面
倒である。出来れば3次元の量で表したい。では与えられた4次元時空に対し3次
元的な距離はどのように定義したらよいだろうか? 実はその定義の方法は無限
にある。なぜなら4次元時空から3次元を切り取る方法は無限だからである。しか
し、空間の対称性を考慮すると、空間が一様等方、すなわち定曲率空間となる
ように切り取ると都合がよい。つまり
面をとればよい。その面に対し、
スケール因子
は一意に定まるので、3次元的距離は2点間の3次元的測地線の
長さに等しくなる。この距離を固有距離とよぶ。
面で世界間隔は
![\begin{displaymath}
dl^2=a(t)^2 [dr^2+S_\kappa (r)^2 d\Omega^2]
\end{displaymath}](img198.png) |
(3.22) |
とかける。観測者が共動座標
の原点
で「静止」しているとする。
このとき、共動座標
で「静止」している銀河までの固有距離
は動経方向の共動座標
で積分することにより、
 |
(3.23) |
となる。なぜなら測地線上で角度
は定数だからである。固有距
離
の時間微分は銀河の後退速度の大きさとみなせる。
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(3.24) |
より、
とおけば任意の時刻
においてハッブルの法則
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(3.25) |
が成立する。