我々は超高解像度N体シミュレーションの結果を用いて、いくつかの四重像QSOー銀河レンズ系にみられる中間赤外(MIR)フラックス比異常は視線方向のハローによる弱い重力レンズ効果だけで説明できることを初めて示しました。従来はこの異常はレンズ銀河内にある小さなダークハロー(サブ構造)に起因するものと考えられてきましたが、今回の結果はその常識をくつがえす可能性を秘めています。これらの視線方向のハローは、より大きな銀河に付随しているのではなく、物質のあまりないボイド領域に存在すると考えられており、初期宇宙におけるハロー形成史の解明の上で重要な役割を果たすものと考えられます。