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Inoue Lab. 近畿大学
宇宙論研究室

News

Planck衛星、宇宙を測る

2009年に欧州宇宙機関(ESA)によって打ち上げられたPlanck衛星が測定した宇宙マイクロ波背景輻射(CMB)のデータが21日に一般公開されました。宇宙マイクロ波背景輻射とは、今からさかのぼること約140億年、宇宙がまだ若く熱かったころの光の名残です。宇宙が膨張すると共に光の波長がのびるため、現在は波長が約2mm程度の電波として観測されます。この微弱な電波は方向によってごくわずか、約10万分の1程度強さが変わることが知られています。宇宙論を研究している研究者はこのごく僅かな変動に関するデータが新しく出るたびにわくわくします。なぜなら、宇宙の年齢や膨張率、宇宙に含まれている物質の割合などがその変動パターンから分かるからです。1年3ヶ月半にわたるPlanck衛星の観測と最近の地上観測などから宇宙の年齢は138億年、宇宙を占める謎のダークエネルギーの割合は69%ダークマターは26%水素やヘリウムなどの物質は5%であることが分かりました。またCMBが手前の物質によって曲げられる「重力レンズ効果」をかつてない高精度で検証しました。さらに電波ゆらぎの大きさが数度より大きい角度スケールで理論予測より5-10%程度小さいという異常も発見しましたが、その起源は未だ謎に包まれています。Planck衛星はCOBE, WMAP衛星に続く歴史上3番目の全天CMB観測衛星であり、現時点でもっとも高い感度と解像度を誇っています。今回のデータ公開は宇宙論の歴史にとって大変重要な出来事の一つといえるでしょう。

 

 

詳細は、ESAのホームページまで。(英語)