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Inoue Lab. 近畿大学
宇宙論研究室

News

失われた揺らぎを修復する方法(井上研)

太古の光の化石である宇宙マイクロ波背景輻射(CMB)は、宇宙論研究者が考えているほど等方的ではないのかもしれません。3月に公開されたPlanck衛星のデータを解析した結果、方向によってCMB揺らぎの振幅の平均値が大きく異なることが分かったからです。我々の宇宙には特別な場所も方向はない、というコペルニクス的原理を信じる立場からすると少し不思議な現象です。もしかすると、我々の近傍に大きな低密度領域(ボイド)があったり、初期の加速膨張の際にわずかな非等方性が残ったりしたのかもしれません。この問いに答えるにはまず、CMBのゆらぎの平均値の等方性を正確に測る必要があります。しかし、我々の銀河面から発せられる強い電波のため、全天にわたってノイズの少ないCMBデータを得ることは難しいのです。周りのデータを使って失われた銀河面近傍のCMBゆらぎを再構築することができればこの問いを解決するための第一歩を踏み出すことができるでしょう。我々のチーム(井上、西澤)は、漸化的に調和関数で展開することにより失われたゆらぎを再構築する新しいメソッドを開発しました。このメソッドにより、CMB揺らぎの平均値の等方性を測ることができれば、宇宙の非等方性の謎に答えることができるかもしれません。

詳細は、arxiv.org/abs/1301.0116を参照ください。