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Inoue Lab. 近畿大学
宇宙論研究室

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ミニボイドやミニフィラメントによる重力レンズ効果(井上研)

遠方の天体が視線方向の天体にほぼぴったり重なっている場合、光の経路が重力によって曲げられることで、遠方の天体の明るさや形が変化する現象(重力レンズ)が知られています。銀河を包み込むダークマターは通常、楕円体の形状が仮定されていますが、球面状の壁に囲まれたボイドとよばれる低密度領域や、ひものように細長く伸びたフィラメントと呼ばれる1次元状の分布をしている可能性も考えられます。今回、銀河サイズのボイドやフィラメントによる重力レンズ効果を計算した結果、4重像クエーサー天体MG0414+0534のレンズ像とその明るさを説明できることが分かりました。遠方の宇宙の銀河の周りにはダークマターと水素やヘリウムのガスでできた銀河サイズのフィラメントやボイドが大量に存在するかもしれません。(論文はこちら:2015 MNRAS Vol447 p.1452-1459

クエーサーを光源とした重力レンズ。白色の模様はダークマターの分布を模式的に表している。 

各レンズモデルにおけるベストフィット質量分布(レンズ銀河(左上)、ハロー(右上)、フィラメント(左下)、ボイド(右下))。A1,A2,B,CはMG0414+0534のレンズ像の位置を表す。フラックス比異常はA2にみられる。