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Inoue Lab. 近畿大学
宇宙論研究室

News

平成26年度の学士論文テーマ

平成26年度(27年3月卒業生)の学士論文テーマです。(近畿大学理工学部理学科宇宙論研究室)

小西 翔太「宇宙マイクロ波背景輻射を用いた宇宙のトポロジーの探索」

 現代宇宙論では、一様等方宇宙を記述するFLRWモデルが採用されている。このモデルにおいて宇宙膨張はフリードマン方程式で記述されるが、宇宙の曲率はまだ正確には分かっていない。宇宙は正曲率で閉じているかもしれないし、またはゼロ曲率や負曲率で開いているかもしれない。しかし、宇宙が「形」を持つとするならば、ゼロ曲率や負曲率の空間を閉じさせることができる。全天における宇宙マイクロ波背景輻射(CMBの)温度揺らぎの相関を取るということで宇宙の「形」に制限をつけられる。本研究では、WMAP衛星のCMBの温度揺らぎを用いて、全天に温度揺らぎのマップを描き、2つの円上で温度揺らぎの相関を取った。本発表では、FLRWモデルとトポロジーについて簡単に説明し、CMBの温度揺らぎの相関の結果について発表する。

杉江 剛典「電波干渉計による観測データを用いた画像作製のシミュレーション」

天体は可視光だけでなく赤外線やX線など様々な電磁波を出している。その内電波を観測する電波望遠鏡の一つとして電波干渉計がある。電波干渉計は複数の小型の単一鏡型電波望遠鏡を連動させ電波を観測する装置である。それぞれの電波望遠鏡で観測されたデータを合成しフーリエ変換して画像を得る。電波干渉計では大きな構造を持つ天体の観測が困難なことや、単一鏡型電波望遠鏡に比べて相関器が複雑で改良しづらいこと等の難点があるが、高い角分解能を得ることができるため天体の構造や星の形成などの研究にとって欠かせない情報を我々にもたらす。今回の発表では、初めに電波干渉計による解析画像を作製するための理論的背景について説明する。次にALMA(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array)干渉計で観測されたサブミリ波銀河SPT0538-50のデータを、ソフトウェアを使ってフーリエ変換し、画像を作製した結果について発表する。