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Inoue Lab. 近畿大学
宇宙論研究室

宇宙論とは?

宇宙論とは、いれものとしての時空と中身である天体を合わせた全体としての宇宙の性質を研究する学問分野です。例えば、宇宙の歴史や未来、宇宙が何からできているのか、宇宙はどこまで拡がっているのか、宇宙の形は何なのかなどという問いに科学的な答えを与えることを目的にしています。

20世紀に入って、宇宙論は劇的な進歩をとげました。特に天文学者ハッブルによる「宇宙膨張」の発見とペンジアス、ウイルソンによる宇宙マイクロ波背景輻射(Cosmic Microwave Background)の発見はもっとも重要な科学的成果であったと思われます。一見、我々の宇宙は永遠に不変な存在であるようにみえるのですが、実は約138億年前に熱い宇宙として誕生し、その後膨張を続けていることが分かったのです。つまり、宇宙も人間のように生まれ、成長をとげてきたことが明らかになったのです。

1980年代に入り、さらにもう一つの進歩がありました。通常、質量をもった物質の間には万有引力がはたらくため、宇宙の膨張にブレーキがかかるのですが、宇宙初期にアクセルを踏んだように、宇宙が加速的に膨張した時間があったのではないかと考えられるようになりました。138億年前の宇宙はどの場所でもほとんど同じ「のっぺらぼう」の状態であったと考えられていますが、このような状態をつくるにはしぼんだ風船を一気にふくらませて、表面がつるつるになるように、宇宙を一気に膨張させる必要があるのです。このような加速膨張(インフレーション)を実現するには膨らませても密度が変化しないような「不死身」のエネルギーを仮定しなければなりません。その起源は今日でも分かっていないのです。

その他にも宇宙には2つの大きな謎があります。それは遠方の天体の光が予想より暗いことと宇宙の質量の大部分(約80%以上)は通常の天体やガスではないことです。前者はダークエネルギーとよばれる未知のエネルギー、後者は光を放出しないダークマターと呼ばれる未知の質量を仮定することにより「説明」することは可能です。しかし、「宇宙の標準モデル」の枠組みを超える物理学を考えなければなりません。例えば、粒子ではなく二次元の弦を万物の「素」と考える弦理論、未知の素粒子を予言する超対称性理論などです。これらの理論は20世紀後半に考え出されましたが、21世紀に入った現時点で、どの法則が正しいのか詳しいことはよく分かっていません。このように、私たちは宇宙というマクロの世界を観察することによりミクロの物理学を検証することが出来るのです。

これら未知の問題を解決するため、宇宙論研究室(Inoue Lab.)では様々な宇宙の構造に着目し、観測および理論の両面から研究を続けています。