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Inoue Lab. 近畿大学
宇宙論研究室

宇宙のトポロジー

一般相対論は局所的な方程式であるので、密度や曲率が一様等方であったとしても大域的には一様等方性が破れている宇宙モデルを考えることが出来ます。このようなモデルでは空間に「形」(非自明なトポロジー)があり、連続変形で1点に縮めることの出来ない輪を考えることができます。

2次元でいうとドーナツの表面(トーラス面)がその一例です。この場合、2種類の縮めることの出来ない輪が考えられます。この面内では、輪に沿って光がぐるぐると廻ることが出来るため、2次元面はあたかも無限に続くようにみえますが、実際は過去に自分自身が発した光が次々と遠方にみえる、万華鏡をのぞいているような不思議な世界にみえます。

教科書では空間の曲率がゼロや負の場合、宇宙は「開いている」と分類され、空間が無限に続くものとされていますが、実はこのような場合でも宇宙の空間を閉じさせることが可能になります。つまり、曲率がゼロや負であっても、宇宙は「端の無い有限」な空間である可能性があるのです。このような空間は「形」をもつため、大域的には一様等方性が破れています。この空間の「形」に特徴的な破れを観測することが出来れば、宇宙空間の有限性を科学的に証明することが可能になります。